像高わずかに56.5cmの小像ですが藤原時代後期の典型的作品です。桂材寄木作りで、漆箔仕上げ。条帛をつけ、智拳印を結び、結跏趺坐している金剛界大日如来で、全体として優美な姿をもち、顔は温和です。髪は櫛目美しく双髪に束ねられ、額には水晶の白ごうが植えられています。面は奥に向かって広がり、大きな耳のつけ根の部分に結合しているため奥行が感じられ、眼は半眼伏目で、視線は鼻梁に注がれていて沈思黙考の相です。
顎の張りと、きりりと結んだロの辺に、おだやかな中にも厳しさがただよっています。左手と右手との間隔は広く、左の人差指をきわだって長く見せているのもこの像の特徴です。衣文は連波式で浅く、腰から上の線は複雑に、腰から下の線は単純で流れるように、さわやかに彫られています。
寺伝によれば、この大日如来は建武年間に当寺に将来されたもので、本尊であったと伝えられています。
<新潟県指定文化財>