像高22cm、椿材を用いた一木彫りです。舟形光背(ふながたこうはい)があり、蓮華台の上に結跏趺坐(けっかふざ)しています。右手は施無畏印(せむいいん)、左手は三界印で薬壺(やくこ)を持っています。両肩までを納衣(のうえ)でおおってしまう、いわゆる「通肩(つうけん)の納衣」をまとっています。
頭はわずかに左に傾き、しかもわずかに左に向いています。両頬は豊かに張り、顎骨が特に張っていて厳しく、やや冷たい感じがします。耳たぼを外に張った大きな両耳の形が力強い。刀痕は全体に大まかで荒々しく、螺髪(らほつ)を魚鱗状(ぎょりんじょう)に彫り出しています。どの指にも爪が彫り出されており爪先があざやかに指頭をぬきんでている点をみると鎌倉時代の手法をふんでいることがうかがえます。
この像は、もとは赤谷の那須徳平氏の所蔵でしたが、区に寄贈されて薬師堂に安置されています。室町時代の作です。
螺髪・・・仏の頭髪のことで旋屈している。
<長岡市指定文化財>