上杉謙信公ゆかりの品です。上杉謙信は学を好み和歌や詩にも長じていたが、特に書道は青蓮院流の妙手で、龍山や近衛前久について学んでいます。
「忠心懸日月、孝義重丘山」の本幅は、落款はないが謙信の書です。謙信は当時流行の御家流を学び、この双幅にもそれが見受けられます。墨は潤渇の変化に富んでいながら虚飾がなく素朴で、力強く勢いのある線質からは旺盛な体力と積極的な気迫が感じられます。また堂々として骨力の満ちた重厚な風韻からは、沈着な心慮をうかがうことができます。
字句も謙信の心構えや思想をよく表わしており、転折正しく威厳のある、まさに王者の風格をみることができます。
<新潟県指定文化財>