常安寺は、上杉謙信が少壮の頃栃尾に在城した当時からのゆかりの深い寺です。
この画幅は、天正2年(1574)法印大和尚となった頃の謙信と二人の家臣の姿を描いたものといわれています。法衣に金らん袈裟をつけ、右手に扇、左手に数珠を持ってとう上床几(とうじょうしょうぎ)に安座しているのが入道謙信です。
前に卓子があって三古杵(さんこしょ)、鈴、花瓶、燭台をおき、かたわらに水瓶をおく。袴をつけ、左右に向い合ってひぎまづく二人の家臣は、盃をのせた三宝を片手に酒注を持って膝行(しっこう)するのが直江山城守、太刀を持って正座しているのが鬼小島弥太郎と伝えられています。
天地を上下に分けて使った構図は、真言宗祖師像形式によるものであり、待臣を左右の前に配する構成も仏画にならったもので、室町時代武将肖像画の通例形式をふんでいます。
この画の製作年代は慶長以前といわれ、彩色は今なお生き生きとしています。
<新潟県指定文化財>