最終更新日 2025年3月4日
このページは、市長の新年度の市政執行方針演説を掲載したものです。
本日、令和7年度当初予算案及び関係議案を提出するにあたり、新年度における市政執行の基本方針について所信を申し上げます。
国内外の政治経済情勢は不透明感を増し、ますます予測が困難な時代になってきました。今年は戦後80年の節目の年です。「歴史の大きな転換点は約80年周期で訪れる」とも言われています。長岡においては、80年前に長岡空襲、さらにその80年前には北越戊辰戦争がありました。
この二度の戦禍や災害から立ち上がり、市民の力を結集して発展を遂げてきた長岡の歴史を強みとして、社会の急激な変化と困難に立ち向かっていく覚悟です。
東京一極集中が加速する中、長岡市においても人口減少・少子高齢化と人手不足の課題を抱え、市民生活も物価高騰等の大きな影響を受けています。国は新たな地方創生として、多極分散型の多様な経済社会の構築を掲げています。
長岡市は中越圏域の母都市として、医療・福祉・教育・子育て支援のさらなる充実、イノベーションによる産業振興などにより拠点性を高め、人の流れや企業の拠点分散の受け皿となることで、「選ばれるまち長岡」の実現に向け、迷うことなく進んでいくべきと考えています。
現在、県内の医療再編が大きな課題となっています。本市には、基幹3病院が協力して、救急患者をたらい回しすることなく受け入れる体制が維持されており、回復期・慢性期の医療や介護を担う病院や福祉施設も数多くあります。
もとより、病院経営の急速な悪化は、医療制度全体の見直しの中で解決すべき課題ではありますが、本市としても、県内随一の充実した医療・福祉体制を堅持するため、最大限の努力をしてまいります。
今年は、市町村合併から20年の節目でもあります。これまで、地域と行政が一体となり、地域の個性が輝くまちづくりに取り組んできました。今後も支所地域や中山間地域における医療の受診機会や生活交通の確保、コミュニティ活動や除雪への支援、鳥獣被害対策の強化などにより、安心して住み続けられる生活環境をしっかりと守ります。
昨年発表された「共働き子育てしやすい街ランキング」で、全国23位、北信越では2年連続のトップとなりました。引き続き「子育て日本一」に向け、子育て支援に注力いたします。また、学校教育の環境整備とともに、学校外の学びの場も充実させ、子どもの学びをしっかりと支えてまいります。
令和8年度には、「米百俵プレイス東館」の完成により、ミライエ長岡がフルオープンを迎えます。4大学1高専や長岡商工会議所、金融機関、国際交流センターなど、さまざまな分野の団体・機関や専門人材の集積により、長岡版イノベーションを加速させ、次世代を担う新たな成長産業の創出を目指してまいります。
引き続き、成長力のある企業の誘致や新産業団地の整備によって、若者や女性の働く場の創出、新卒者の地元就職、U・Iターンや外国人材の受け入れなどによる人材確保に全力で取り組みます。
併せて、脱炭素化と再生可能エネルギーの導入、ながおかペイによる消費喚起、スマート農業等の推進により、地域経済の活性化を図ってまいります。
また、ふるさと納税や長岡花火を契機とした観光プロモーションをはじめ、観光資源の魅力向上により、インバウンドや関係・交流人口の拡大につなげてまいります。
以上を踏まえ、都市としての拠点性を高め、「選ばれるまち長岡」の実現を目指し、全力で市政運営に邁進する決意です。今こそ、長岡のまちづくりの原点である「市民協働」と「米百俵の精神」に立ち返り、オール長岡で一致団結し、明るく輝く未来の礎をつくってまいります。
新年度の財政状況について、基幹収入である市税の増額が期待できることから、一般財源総額は前年度より増加する見込みです。歳出では、物価や賃金等の急激な上昇により、物件費や扶助費、人件費の増加が見込まれますが、長岡の未来に向けた取組はしっかりと進める必要があります。
こうしたことから、予算編成にあたっては、国・県支出金や交付税措置のある起債などを最大限活用するとともに、財政調整基金を29億円取り崩して対応することとしました。
令和7年度当初予算は、以下申し上げる5つの柱に基づき、各種の重点施策を行ってまいります。
第1の柱 安全・安心で誰にも優しく寄り添う市民協働のまちづくり
中越圏域における救急医療体制の堅持や、介護事業所等に対するテクノロジー導入支援の拡充により、医療・福祉を充実させるほか、困難を抱える女性に対する支援や、ひきこもり相談・支援体制の充実を図ります。
市民総ぐるみの防災体制の強化として、災害時の情報収集・伝達手段を強化し、迅速で正確な情報発信を図るとともに、市内最大規模の雨水貯留施設を新たに整備することで、浸水対策の強化に取り組みます。
誰もが安心して、住み慣れた地域に住み続けられる生活環境を維持・確保するため、豪雪地帯の玄関先除雪と中山間地域での民間医療機関によるオンライン診療をモデル事業として実施するほか、鳥獣被害対策の強化や地域交通の維持、町内会活動への支援、きめ細やかで機動的な土木施設管理など、安全で安心な生活を守るための取組を進めてまいります。
第2の柱 子どもや若者の育ちと学び、夢への支援
休日の中学校部活動の地域移行後も、すべての生徒が希望するジュニアスポーツ・文化芸術活動に参加できるよう、経済的困窮世帯や遠距離参加者の負担を軽減するほか、ミライエ長岡で中高生に多様な学びの場を提供します。
また、登校後に教室以外の場所で過ごす児童生徒に安心できる居場所を確保するため、学校内における教育支援環境の整備を進め、支援員を配置します。そして、発達支援の「長岡モデル」として、こどもの発達相談・サポート体制を強化するとともに、発達支援アドバイザーの配置やインクルーシブ教育ソフトの活用により、特別支援教育を充実させます。
さらに、子育てしやすいまちへ向けた体制整備として、配慮が必要な子どもの受け入れを拡大する私立保育園等への支援を充実させるほか、児童クラブ・児童会館の運営にICTを活用することで、利用者の利便性やサービスの向上を図ります。
第3の柱 イノベーションとDX支援による産業のさらなる成長
ながおかDXセンターを拠点としたAIの社会実装などの取組により、産業イノベーションを推進し、地域活性化を図ります。また、ミライエ長岡で産学官金が連携し、地域企業によるイノベーションの創発をワンストップ型で支援する体制を構築するほか、あぐらって長岡の次世代型園芸ハウスで長岡版スマート施設園芸の実証栽培を展開するなど、新産業の創出に取り組みます。
物価高騰に対応した制度融資の信用保証料の補助率を引上げて中小企業の資金繰りの支援を強化するほか、ながおかペイの地域企業応援キャンペーンなどにより、消費喚起と地域経済の活性化を図ります。
テレワークで働きたい女性や女性起業家のさらなる成長を支援するなど、女性の多様な働き方への支援を強化します。また、市内企業による外国人材の受け入れと定着を促進するための相談窓口を試行開設するほか、従業員の奨学金返還相当額を給付する中小企業を支援するなど、産業界の多様な人材確保と人手不足対策の取組を強化します。
第4の柱 長岡の歴史・魅力の発信と地域を元気にする活動の推進
長岡空襲と終戦から80年を迎えるにあたり、史実と平和の尊さを後世へ伝えるため、戦災資料館の所蔵資料をデジタルアーカイブ化するほか、空襲殉難者追慕の集いと特別企画展をアオーレ長岡で開催します。
また、ふるさと納税や長岡花火をきっかけに長岡のファンとなった方たちと継続したつながりを深めていくためのファンクラブサイトの構築に着手するとともに、観光プロモーションを展開します。
さらに、佐渡との連携により広域的な周遊ルートを造成するほか、今年5月に国営越後丘陵公園で初開催される「ながおか米百俵フェス」を支援するなど、通年観光を目指した取組により、長岡の認知度向上を進めてまいります。
文化芸術分野の全国大会出場者に対する報奨金制度を創設するとともに、アーバンスポーツフェス(仮称)を初開催し、eスポーツを無料体験できるブースを公共施設に設置するなど、文化やスポーツで楽しく元気になる環境を整備します。
第5の柱 効率的で持続可能な行政運営
社会経済情勢の変化に対応し、持続可能な行政運営を行うため、AIなどの先端技術を積極的に取り入れながら、行政サービスの質の向上と行政事務のさらなる効率化を図ります。
また、次期「長岡市総合計画」と次期「持続可能な行財政運営プラン」の策定に向けた検討を進めてまいります。
以上申し上げた施策に基づく令和7年度の当初予算の規模は、一般会計が1,452億6,500万円と、前年度より8.4%の増となりました。
特別会計と企業会計を合わせた総予算額は2,319億8,370万円であります。
以上、令和7年度の市政執行にあたっての私の所信と当初予算の重点施策を申し上げました。
議員各位の一層のご理解とご協力を心からお願い申し上げます。
このページの担当